妊娠とやおい

「ああ…、心臓が妊娠したような気分だ」

『李歐』 高村薫


やおい小説や漫画などで「妊娠してしまう」などの台詞が出てくることは多々ある*1。もちろん男性同士が前提だ。
以前は、女性性からの逃避や忘却を求めて読むフィクションにおいて、それらの単語をなぜ使うのかが不思議で仕方なかった。生殖行為に縛られない愛やセックスに憧れを抱いたわけではないのだろうか、そんな疑問を抱いていた。
けれども、上記の台詞を読んで、男性同士だからこそ「妊娠」という言葉に生殖ではない要素が加わり、特出した色気がでるのだと理解することができた。

本来の性ではありえないであろう事を表現することで、その性を超越することに成功している。女性性からだけでなく男性性からも解放された存在となっている。

その両性具有的な世界観は十分に夢を見させてくれているのだと、今はそう思う。

李欧 (講談社文庫)李欧 (講談社文庫)
(1999/02)
高村 薫

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*1:多々はないかも…


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